地獄からの脱出 / Escape from LA by カート・ラッセル

11月6日


帰国の途は、呪い全開でした。驚愕の展開に、恐れいれ!


朝7時の便で帰らねばならない私達は、4時半にタイマーをセットしていました。
しかし、タイマーは呪いの呪縛のせいか、全く鳴る気配を見せません。
不穏な空気を察知した私は、5時半にふと目を覚ましました。
「うわー、遅刻やんけー! なんで、タイマー鳴らへんのじゃー!!」
とにかく、横で寝ている嫁を起こして、一目散に空港へ向かいました。
後で、冷静にタイマーを見ると、AMとPMを間違えてセットしていました。
あはははははははは。嫁には、内緒でお願いします。


空港について、目にしたのはチェックインカウンターの長蛇の列。
日本人のツアー団体客がうわーって並んでました。
朝早いので、女はみんなスッピン。恐ろしい光景でした。
かくいう、嫁もスッピン。しかし、うちの嫁はスッピンでも大丈夫です。えっへん。
証拠のスッピンの写真を掲載しようと思いましたが、ある筋からNGが出ました。
長蛇の列を見ても、私達は余裕ぶっこいていました。
最初に乗る便はベガス-ロスの国内線なので、2時間前チェックイン厳守でないからです。


しかし、カウンターに着いてチェックインしようとすると、こう言われました。
「IT IS TOO LATE.」
団体客と同じ便だろうと並んでいたのですが、団体客は1本後の便でした。
うわぁー、乗り遅れた! また、やっちゃった。
以前にもチェックインする時間が遅く、乗り遅れたことがあったのです。
バカは何をしても、治りません。いやっ、バカではなく、呪いです。
結局、1時間後の便で行くしか方法はありません。
さすがの私も、へこみました。
空港内を意味もなく、うろちょろして気を紛らわすので精一杯です。


国内線に乗るには乗りましたが、この後が大変なのです。
ロスに着いてから、2時間前にチェックインしなければ、
帰りの国際線に乗ることができないのに、計算上15分しか時間がない。
しかも、ロスの空港ってバカ広いのです。
近くにいた職員に聞いても「それはヤバイです。」と首を左右に振るばかり。
あぁっ、呪いって怖い!
私達を不幸にする何か見えない大きな力が働いてますよ、絶対。


とにかく、急がねば。ロスに到着し、
私達が向かうべきチェックインカウンターまで、歩いて15分。
歩いてる余裕などない! 時間短縮のためタクシーでの移動を決断。
嫌がるタクシーの運ちゃんに、強引にチップを捩じ込み、フルスロットルで飛ばしてもらい、
降り際に、親指立てられニヤッと笑い「GOOD LUCK!」と言われながらも、
2時間5分前にチェックインカウンターに到着。
ここからが、勝負。
長蛇の列など無視して、カウンターにかぶりつき、鼻息荒げて「ワーワー」英語で叫んでると
職員がカタコトの日本語で、しれっと言いました。
「その便は1時間遅れて出発するから、大丈夫ですよ。」
俺の悪運強し! 呪い、振りきったり!
なんとか、無事帰国できそうです。


しかし、さらなる不幸がこの後、待っているとも知らず、
大韓航空002便は私達を乗せて、ロスの空港を飛び立ったのである。


(つづく)